2020年1月29日水曜日

GW北東北の桜旅:福島城(青森県五所川原市)

2019年5月1日訪城。

芦野公園で桜をしばし楽しんだ後は、そこからバスで北上して十三湖の北側に向かった。目的地は以前から訪れたかった福島城である。

福島城は14世紀前半に安藤貞季の築いた「新城」とされており、平成の発掘調査で見つかった遺跡や遺物からも14~15世紀の城であることが判っている。なお、昭和の発掘調査では10世紀頃の遺物しか見つからず、このため長らく謎の城とされてきた。当時のこの地は十三湊を本拠地とする安藤氏が治めており、南部氏の勢力拡大で津軽を追われるまでは海運貿易で繁栄を誇っていた。


福島城内郭北門
福島城の内郭は200m四方の正方形の形をしており、北側の虎口に復元された城門がある。ただ、もうかなり年代(建てたのは昭和?)が経っており、あちこち痛んでボロボロであった。ちなみに画像手前の内堀に架かる橋も床がボロボロで地味に危険。


内郭内部
内郭の内部は今は草原になっており、思っていたよりもかなり広かった。福島城の構造を見ると律令政府が築いた城柵によく似ているが、安藤氏はそれを参考にしたのだろうか。なお、内郭の南東側あたりで中世の屋敷跡が発掘されている。


内郭北側土塁と内堀
内郭は周囲を土塁が囲んでおり、北側は水堀もあって遺構が顕著に残されている。ただ、実は平坦ではなく傾斜がある地形のため、水堀は元々は空堀だったのでは?という疑問もある。


内郭西側土塁
画像は内郭の西側土塁を外から見たものだが、こちらは畑があるためちゃんと確認できなかったが、北側と違ってハッキリとした堀は見られなかった。風化か開墾で埋まってしまったのか、元からそういうデザインだったのかは不明である。


外郭西側土塁
内郭よりも外の雑木林をさらに西に行くと、外郭の土塁も確認できるが、外郭の遺構はかなり断片的で広く分散しているため、全体像がよく判らない。


内郭東側土塁
一方、内郭の東側も土塁がやや低くなっているものの残っており、途中埋まったりしていたものの堀も確認できた。こちらは基本的に空堀である。


内郭南東隅の土塁と堀
内郭南東隅まで行くと再び堀は水堀になるが、南側は湿地帯と藪になっていて確認できなかった。南にも虎口遺構があるとのことだが、内郭内部からアクセスした方が良さそうである。ただ、今回は時間の都合でパスした。

外郭東部にある駐車場
内郭を東に離れてしばらく行くと、公共の駐車場があり、ここに城の明確な説明板が設置されている。あと、桜の木が何本かあって一部はまだ満開で綺麗だった。


外郭東堀
駐車場に隣接して東側には外郭東堀と東土塁があり、ハッキリ言ってここが城内で最も見応えがある遺構だった。画像は外郭東堀だが、内郭の堀とは明らかに規模が違って労力がかかっている。やはり東に備えているということは南部氏を意識したものなのだろうか。


外郭東土塁の上
土塁の上は3mくらいの幅があり、歩いて外郭東門跡付近まで移動できるようになっている。土塁は東門跡まで途中で90度に2回折れて続いており、東門跡を守る横矢構造のようにも見える。


伝・物見台跡
外郭はかなり広いため点在する遺構を見るのも大変だったが、藪になっている所も多いので外からしか確認できない、又はそこに行くまでの道が無いというのも多かった。画像右奥は物見台跡で、恐らく電柱用の草刈り跡があったのでそこから行けそうだったが、雨も降っているので断念した。